国宝土偶が2体!茅野市尖石縄文考古館の見どころ紹介【前編】:縄文のビーナス・仮面の女神

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尖石縄文考古館には国宝に指定されている土偶が2体います。
国宝土偶以外にも八ヶ岳周辺で出土する造形美が素晴らしい土器もたくさん展示されています。

日本全国に5体しかない「国宝」の土偶。そのうちの2体が、ここ『茅野市尖石縄文考古館』に揃っています。同じ博物館で2体同時に国宝を拝めるなんて、こんな贅沢な場所が他にあるでしょうか。

ふと「縄文土器に癒やされたい…」と思い立ち、ピンとくる場所を探したものの、周辺には手頃な宿が見つからず…。3連休ということもあり、今回は泣く泣く日帰りとなりました。

目的地は、長野県にある『茅野市尖石縄文考古館』。私のお目当ては、大好きな『縄文のビーナス』です。かわいいですよ、縄文のビーナス。特にキュッと上がったハート型のお尻が、たまらなく魅力的なチャームポイントです。

目次

夏でも涼しい長野県・茅野市。中央道自動車道で行く「尖石縄文考古館」へ

最高気温35度近い猛暑が続いていた千葉県。

西日本はさらに過酷な暑さだったようですが、8月10日の長野県はあいにくの雨。しかし、標高が高いせいか「少し肌寒い?」と感じるほどの涼しさでした。久しぶりの「涼しい〜!!」という感覚に、これだけで「長野って素晴らしい!」と感動してしまったほどです。

千葉から京葉道路、首都高、中央自動車道をひた走り、諏訪南ICへ。そこから数回曲がると、あっという間に『茅野市尖石縄文考古館』に到着。

現実は非情…、甘かった…。世間は3連休、しかも夏休み真っ只中。自由研究の影響もあるのでしょうか、3箇所ある駐車場はどこもほぼ満車状態です。

過去に2回ほど訪れたことがありますが、こんな混雑は初めて。「つ、ついに縄文ブーム到来か!?」なんて大げさなことを考えつつ、必死に空きスペースを見つけてなんとか車を停めることができました。

考古館の周辺は散策路になっています
茅野市尖石縄文考古館の周辺地図です
茅野市尖石縄文考古館
国宝土偶「縄文のビーナス」と「仮面の女神」

茅野市尖石縄文考古館の入館料は、大人500円、高校生300円、小中学生200円となっています。

圧巻の造形美・八ヶ岳周辺の縄文遺跡から見つかった素晴らしい土器の数々

先月の井戸尻考古館に続き、今回もまた見事な土器たちに出会うことができました。複数の遺跡から集められた出土品の数々は、どれも息をのむほどの美しさです。

動物を思わせる不思議な文様や、土偶と土器が融合したような大胆な意匠。それらを眺めていると、縄文時代の人たちが込めた情熱や技が、時を超えてダイレクトに伝わってくるようです。

縄文土器の面白さは、なんといってもその装飾にあります。縁(ふち)に施された動物やヘビのような文様。これら一つひとつに、当時の人々の精神世界が投影されている……と言っても過言ではないはず。

入り口に展示されている土器を見ても、口縁部から胴部に至るまで、二つとして同じものがないほど多様な文様が施されています。

中でもパネルで紹介されている『神像筒形土器』は、一度は見ておいて損はない「すんばらしい」名品!ぜひ、井戸尻考古館まで足を運んで実物を体感してほしいものです。

かわいいイノシシ形です
迫力がありますね
いろいろな角度から土器を眺めることをおすすめします

縄文土器は、見る角度を変えるたびに違った表情を見せてくれるのが面白いところ。入り口からいきなり、これほど見事な土器をじっくり鑑賞できるなんて贅沢の極みです。

館内は展示室A・B・Cとテーマごとに分かれており、いよいよ国宝土偶2体が待つ展示室へと続いていきます。

展示室その1:特別史跡『尖石遺跡』

『茅野市尖石縄文考古館』のすぐ目の前には、特別史跡『尖石(とがりいし)遺跡』が広がっています。その名の由来となった「尖石」は、てっぺんが鋭く尖った巨石で、考古館から歩いて5分ほどの場所に鎮座しています(あとで見学しに行きます)

八ヶ岳の西山麓、標高1,070mの台地に位置するこの遺跡は、縄文時代中期の代表的なもの。昭和5年から宮坂英弌(ふさかず)氏の手によって発掘調査が始まり、数多くの住居跡や土器が発見されました。

館内には、宮坂さんたちが発掘に情熱を注いでいた当時の写真や、実際に使用していた道具を紹介する展示室もあります。写真撮影不可の場所もあるので、見学の際は注意してくださいね。

さて、こちらがその尖石遺跡から出土した土器です。

蛇みたいです

尖石遺跡も造形美が素晴らしい土器ばかりです。

蛇の頭のような

蛇体把手付深鉢形土器と台付小形土器の不思議な出土状況

蛇体把手付深鉢形土器の破片の下から、台付小形土器がつぶれた状態で出土しました。

尖石遺跡の「有孔鍔付土器」です。

これまたすごい装飾がついています

土偶も出土しています。

1番はかなり写実的ですね
すばらしい土器がずらりと並んでいます

展示室その2:国宝土偶「縄文のビーナス」と「仮面の女神」

尖石遺跡の発掘調査の足跡をたどった後は、いよいよ隣の展示室へ。
そこには、この考古館の主役ともいえる2体の「国宝土偶」が、ただならぬ存在感を漂わせながら鎮座していました。

大人気です!国宝土偶「縄文のビーナス」

「あれ、これ学校の教科書で見たことあるかも?」……なんて、記憶の片隅にある方も多いのではないでしょうか。正直、知名度がどれほどかは分かりませんが(笑)、おそらく日本で一番有名な土偶と言っても過言ではないはず。

それがこちら!国宝『縄文のビーナス』です。

ハート型のお尻がかわいいですよね

縄文遺跡から出土する土偶の約9割は女性像だといわれており、豊かな胸やふっくらとしたお腹、そして大きな腰まわりが特徴的です。これには安産祈願や子孫繁栄への切実な願いが込められている……という説が有力なのだそうです。

この『縄文のビーナス』もまさにその代表格。ふくよかな胸とお腹、そしてどっしりとしたお尻が、生命の力強さを感じさせてくれます。

『縄文のビーナス』が出土したのは、尖石遺跡から北に位置する『棚畑(たなばたけ)遺跡』です。この周辺には、中ッ原(なかっぱら)遺跡も含め、縄文の重要な拠点が地理的に連なっています。

発掘作業が終わりに近づいた頃、第一発見者の関喜子さんが、地面からわずかにのぞく欠片を竹ベラで掘り始めました。最初は単なる土器の破片だと思っていたそうですが、掘り進めるうちにそれが土偶だと分かり驚きます。

調査員の方と共に慎重に掘り起こすと、現れたのは完全な姿を保ったとても大きな土偶。ちょうど差し込んだ西日が、まるでスポットライトのように、4000年の眠りから覚めた彼女を照らしていたといいます。

そんなドラマを背負った『縄文のビーナス』。彼女がなぜ作られ、どのような経緯で埋められたのか……その謎については「遺跡を学ぶシリーズ」に詳しく記されていますが、語り出すと長くなるので、また別記事でじっくりご紹介したいと思います。

ちなみに、縄文時代にはこれに類似した土偶も多く出土しており、当時の流行や文化の広がりを感じさせてくれます。

縄文のビーナスはそっとその場に置かれたような姿で現れました

国宝土偶『仮面の女神』

『縄文のビーナス』の隣に展示されているのが、もう一体の国宝土偶『仮面の女神』です。

仮面の女神が発見されたのは、2000年8月のこと。縄文のビーナスの出土からしばらく経った頃、中ッ原(なかっぱら)遺跡から大型土偶が姿を現しました。当初は『仮面土偶』と呼ばれていましたが、一般公募によって『仮面の女神』という名前が付けられ、現在は国宝として尖石縄文考古館に展示されています。

この女神の発見も、柳平年子さんが地面から覗く「黒く尖ったもの」を見つけたことがきっかけでした。

仮面の女神の右脚はわざと本体から外されていました。そして、空洞になっている胎内や右脚に、細かく壊した破片を埋め込んで、開いている穴に蓋(ふた)をします。最後に、外していた右脚をそっと元の場所に添えて、もとの完璧な姿に戻してから、土の中に大切に埋め戻されていました。

国宝土偶・仮面の女神
仮面の女神の出土状況が再現されています
仮面の女神も儀式的な感じに埋められていたようですね

この『仮面の女神』と同じような形の土偶は、長野県や山梨県でも見つかっています。どうやらこのタイプの土偶は、縄文時代後期前半、この地域(中部高地)を代表する土偶だったみたいです。

仮面土偶「ウーラ」ウーラちゃんってちゃん付けしたい名前ですね

素晴らしい土器たちも必見ですが、この2体の国宝土偶に会うためだけにでも、『茅野市尖石縄文考古館』を訪れる価値は十分にあると思います。

展示室その3:各地の遺跡から集まった、個性豊かな土器と石器たち

自分がこれは!と思った土器たちを簡単に紹介していこうと思います。

環状把手のある深鉢土器
私の大好きな諸磯式土器(縄文時代前期の土器です)
素晴らしくないですか?このフォルム
シュッとスタイリッシュ
山梨県立考古博物館に展示されている諸磯式土器も素晴らしいですよ
自分の腰までありそうな大きな土器もあります
曽利式土器?(どんな土器かわかるようにそろそろなりたい)
注口付土器(棚畑遺跡です)
無駄がない感じです
褶曲文のある深鉢土器
土器のふちのところの蛇行する線が幾重にも描かれている文様「褶曲文」
すごくないですか?この土器の形
顔面表現のある土器(または土偶装飾付土器)
土器につけられている文様もすごいですね
カメラ目線?

まだまだ素晴らしい土器はあるのですが、2体の国宝土偶に加え、第3展示室に並ぶ素晴らしい土器の数々を簡単にご紹介しました。

夏休みの自由研究(自由研究っていまもあるのでしょうか?)のテーマにしても面白いくらい、縄文の世界は奥が深いです。詳しく知るほどにこれまでの常識が覆されますし、各地域で異なる造形に出会えるのも大きな魅力です。

いつか国宝土偶5体すべてを制覇したい……!

次回へと続きます。

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