千葉県は日本一貝塚の宝庫で、県内には700~800カ所ほど貝塚が所在しています。これは日本全国にある貝塚の5分の1から4分の1ほど占める割合で、東京湾沿岸の千葉市周辺に大規模な貝塚が集中して多く分布しています。
その貝塚のなかのひとつ『加曽利貝塚』は、2017年貝塚としては初めて国の特別史跡に指定された貝塚です。その加曽利貝塚は現在、誰でも貝塚を見学できる遺跡公園として開放されています。
加曽利B式土器の企画展を見学したあと公園を散歩してきました。
加曽利貝塚博物館:月曜日休館日(年末年始・月曜日が祝日の場合は翌日が休館日)
千葉都市モノレール「桜木駅」から徒歩10分ほど(案内看板がありますので迷うことはないと思います)
加曽利貝塚縄文遺跡公園は年中無休です。駐車場あります(臨時駐車場もありますが博物館が休館日の場合、利用不可)
貝や土器、動植物の採取は禁止です。>>加曽利貝塚博物館利用案内


国の特別史跡「加曽利貝塚」とは?
加曽利貝塚は、直径140mでドーナツの形をした縄文時代中期の北貝塚と、長径190mで馬のひづめの形をした縄文時代後期の南貝塚から成り、隣接する両者を上空から見ると8字形をした、日本最大級の貝塚です。
貝塚のまわりには、当時の人々がくらしたムラの跡が広がっています。現在、約15.1haが国の特別史跡に指定され、加曽利貝塚縄文遺跡公園として親しまれています。>>加曽利貝塚について
加曽利貝塚縄文遺跡公園を入ると案内マップがあります。案内マップに記載されている「灰色の円と馬蹄形」の形をした場所があり、左に書いてある円は「北貝塚」、右側に書かれている馬蹄形は「南貝塚」、そこには5000年前からコツコツと積まれてきた大量の貝が眠っています。
その貝塚の周りには住居があり、現在は、復元された竪穴住居と発掘調査当時の住居あとを見学できる施設があります。




加曽利貝塚縄文遺跡公園のポイントを周って散歩して行きたいと思います。
E地点と加曽利E式土器
加曽利貝塚から出土した土器に「加曽利E式土器」と「加曽利B式土器」という名前がついた土器があります。
土器の名前にはしばしば「E」や「Ⅰ(いち)」などアルファベットや数字がついているものがあります。加曾利貝塚の場合、EやBは土器が出土した地点を表しており、加曽利E式土器は、加曽利貝塚のE地点から出土した土器という意味になっています。E地点の正確な位置はわかっていませんが、現在、E地点と示されている場所には解説看板が設置されています。

加曽利E式土器は、縄文時代中期の土器(約5,000年前)です。出土した土器は、公園内にある「加曽利貝塚博物館」で見ることができます。ちなみに、IからIVの記載がありますが、こちらは加曽利E式土器の時代区分になっています。

加曾利貝塚E地点は、この草の土の上にあります。

土の上を歩いていると足元には貝が土の中から見えている場所がありますが、採取は禁止です。

これらの貝を見ていると、ここは貝塚なんだと実感します。
北貝塚の住居跡
加曽利貝塚の北貝塚には、北貝塚の断面が見学できる「貝層断面観覧施設」と、北貝塚にある住居跡を見学できる「竪穴住居跡群観覧施設」があります。貝層断面観覧施設は名前のとおり、貝塚の断面が見学できる施設で、貝塚が形成されていた当時、採取されていた貝類、土器の破片などが間近で見学できます(今回は南貝塚の貝層断面観覧施設を見学してきました)。
加曽利E式土器の解説看板を見たあと、隣にある発掘調査をされている場所を見ていると、北貝塚の竪穴住居跡群観覧施設が目についたので見学してきました。施設は改装されたようで、建物内部はとてもキレイでした。


施設のなかは、少し薄暗く若干独特のニオイがします。



竪穴住居跡は本来、保存のために埋め戻されるのが普通ですが、加曽利貝塚では特別な保存方法で公開保存されています。ここにも書かれているように、住居の柱や屋根材などは発掘でめったに見つかることはありません。







復元された竪穴住居(復元集落)
北貝塚竪穴住居跡群観覧施設を見学し終えたあと、博物館のほうへ戻り復元された竪穴住居を見学してきました。
復元集落は、過去の調査で発掘された住居跡の場所に実物と同じ大きさの竪穴住居を復元しています(内部も見学できます)









加曽利貝塚縄文遺跡公園の入り口からは少し遠いですが、どっしりと建てられている竪穴住居を見学できる場所です。
埋葬の場
竪穴住居を見学したあと、南貝塚方面へ歩いていきました。
南貝塚方面には、埋葬の場、加曽利B式土器が出土した場所、そして南貝塚の断面が見学できる貝層断面観覧施設があります。



加曽利貝塚ではこれまでに約230体の人骨が出土しています。県内の貝塚で最も多く人骨が見つかっており、貝層を掘り込んだ穴の中に埋葬された人骨が多く見つかっていることから、貝塚はただのゴミ捨て場ではなく、縄文人にとって大切な場所であったことがわかります。埋葬姿勢は、手足を伸ばした「伸展葬(しんてんそう)」、手足を折り曲げた「屈葬(くっそう)」が多く見られます。特殊な事例としては、使われなくなった住居跡の床下に4人が埋葬された例「廃屋墓(はいおくぼ)」などがあります。
そして、加曽利貝塚では、これまでに15体のイヌの骨も出土しています。その多くが埋葬された状態で見つかっており、中には骨折した足が治療した状態のイヌもありました。またイヌの排泄物である「糞石」も出土しており、糞石の中からは未消化の魚の骨も見つかり、縄文人からエサを与えられていた可能性も考えられます。これらの事例が、縄文時代のイヌと人の密接な関係を物語っています。ちなみに、加曽利貝塚博物館で人骨まもちろん、埋葬されたイヌの骨も見学できます。

加曽利B式土器出土地点
南貝塚貝層断面観覧施設方面へ歩いていくと、加曽利B式土器出土地点の場所があります。
ちなみに、加曽利B式土器とは…
加曽利貝塚の南貝塚B地点から出土した縄文時代後期中頃の土器。加曽利B式土器の中でも「粗製土器」と「精製土器」に分けられ、粗製土器は器種(用途に応じた土器の種類)は深鉢を主体をし装飾性が低く粗雑な作りをしているのに対して、精製土器は、深鉢・鉢・浅鉢・注口土器など器種がさまざまで、装飾性が高く、丁寧な作りをしているのが特徴です。


先日、加曽利B式土器の企画展がありました。その様子はこちらの記事からわかります。
南貝塚貝層断面観覧施設

加曽利貝塚公園では、加曽利貝塚で形成された「北貝塚」と「南貝塚」の貝層断面が見学できます。
貝塚とは、縄文人が採取した貝や魚、動物や木の実などを食べたあとにまとめて捨てた場所が貝塚です。「縄文人のゴミ捨て場」と考えられることもできますが、貝塚には縄文人や共に暮らしていたイヌが埋葬されるなど、単なるゴミ捨て場ではなく、縄文人にとって大切な場所であったことがわかっています。



加曽利貝塚で多く見つかる貝は…
- 1位:イボキサゴ
- 2位:ハマグリ
- 3位:アサリ
- 4位:シオフキ
- 5位:マガキ
となっています。


加曽利貝塚は、史跡の中でも「学術上の価値が特に高く、我が国文化の象徴」として、貝塚として初めて国の「特別史跡」に指定された遺跡です。北貝塚と南貝塚をあわせると日本最大級の規模を誇り、縄文人の暮らしを知ることができる加曽利貝塚博物館も併設されています(入館料は無料です)。
博物館では千葉県内の貝塚をはじめ、さまざまな遺跡について学べる展示もあり、縄文時代を知るための第一歩として見学してみるのもおすすめです。
