長野県北佐久郡御代田町にある「浅間縄文ミュージアム」。
軽井沢町にも近い御代田町にあり、浅間山麓の縄文文化や自然史について学べる博物館です。
今回のお目当ては、縄文時代中期の土器「焼町土器(やけまちどき)」。ドーナツ状の突起や、うねるような曲線を組み合わせた独特の造形で知られています。
実は、訪問する前は独立した博物館の建物を想像していました。ところが、現地に着いてみると、図書館などが入る複合施設「エコールみよた」に併設されていたのです。
最初は「ここかな? 違うかな?」と迷いながら通り過ぎてしまいましたが、もう一度施設の前を通ったときに、ようやく浅間縄文ミュージアムの文字を発見。無事に駐車場に車を停めることができました。
そして、館内で待っていたのは、想像以上に迫力のある焼町土器でした。
今回は、実際に撮影した写真とともに、焼町土器の魅力を紹介します。
国指定重要文化財・焼町土器
浅間縄文ミュージアムでぜひ見ておきたいのが、縄文時代中期の「焼町土器」です。
焼町土器は、御代田町の川原田遺跡から出土した土器で、ドーナツ状の突起や、渦を巻くような曲線を組み合わせた立体的な装飾が特徴です。
川原田遺跡から出土した焼町土器などの資料は、国の重要文化財に指定されています。

焼町土器(やけまちどき)は、縄文時代中期(約5,000年前)に長野県から群馬県を中心とする地域で流行した縄文土器です。火炎土器などと並び称されるほど立体的で芸術的な文様が特徴で、現在では国の重要文化財にも指定されています。
縄文時代中期の土器には、複雑な文様や立体的な装飾を施したものが数多くあります。以前から、長野県やその周辺で作られた土器には、まるで芸術作品のような魅力があると感じていました。
しかし、実物を目の前にすると、その迫力は想像以上でした。
館内は落ち着いた雰囲気で、奥の展示室には焼町土器が並んでいます。一つひとつの土器に独特の存在感があり、思わず足を止めて見入ってしまいました。
受付では写真撮影が可能と案内していただいたので、じっくりと展示を見ながら撮影することもできました。
家族連れの方々が楽しそうに展示を見ている一方で、私はすっかり土器に夢中。薄暗い展示室の中で、一つひとつの造形を眺めながら、何枚も写真を撮っていました。
焼町土器の圧倒的な造形美
焼町土器を見てまず驚くのは、その独特な造形です。
「どうしたら、こんなデザインを思いつくのだろう」
思わず、そんなことを考えてしまいました。
土器の表面には、うねるような曲線や渦巻き状の文様が施され、口縁部には大きな突起が取り付けられています。平面的な文様だけでなく、粘土を立体的に組み合わせて表現しているところが印象的です。
焼町土器NO.2
- 躍動感のある文様:土器の表面に「うねる」ような粘土の紐(隆線)を貼り付け、それに沿って曲線や渦巻き文様が大胆に描かれています。
- 円環状の大きな突起:縁の部分などにドーナツ状やリング状の巨大な立体突起が張り出しているのが大きなデザイン的特徴です。


全体を眺めると、土器の表面を埋めるように配置された曲線や突起が目を引きます。

粘土を立体的に盛り上げ、曲線を組み合わせて作り上げた装飾には、独特の躍動感があります。

土器は実用品でもあります。食べ物を煮炊きするなど、暮らしの中で使われていた道具に、これほど手の込んだ装飾が施されていることが印象的でした。
現代の私たちから見ると、芸術作品のようにも感じられます。

焼町土器の特徴の一つが、縁などに見られる円環状の突起です。
ドーナツのような形をした立体的な装飾が、土器に独特の表情を与えています。
同じような特徴を持つ土器でも、突起の形や文様の組み合わせは一つひとつ異なります。細かな部分まで見比べていると、いつまでも飽きません。
焼町土器NO.6


この土器を見たときの感動は、今でも覚えています。
Vの字型の装飾がある土器は初めてで、このような迫力のある動きの土器を完璧に作ることのできる縄文時代の人たちの技術に感動しました。

ただのVの字装飾ではなく孔やつまみ?みたいな装飾が、計算されたような感じにつけられていますね。

胴部に施された曲線も、滑らかでありながら力強さを感じさせます。
土器全体の形だけでなく、部分ごとの装飾にも個性があるところが、焼町土器の魅力だと思います。
焼町土器NO.1

私の中では、まさに「これぞ焼町土器!」という印象の土器でした。

写真を撮っていると、どうしてもガラスケースの反射が気になります。それでも、少しでも細かな装飾を残したくなり、夢中で撮影してしまいました。

やはり目を引くのは、ドーナツ状やリング状の大きな突起です。

土器の表面には、立体的な突起だけでなく、細かな文様も施されています。
大きな装飾と細部の文様が組み合わさることで、土器全体に独特のリズムが生まれているように感じました。
実際に展示室で見ていると、写真だけでは伝えきれない立体感や存在感があります。焼町土器に興味がある方には、ぜひ実物を見ていただきたいです。
縄文時代の人々の暮らしを想像する展示
館内には、縄文時代の人々の暮らしを想像できる展示もありました。

出土した人骨などをもとに再現された縄文時代の人物模型です。
これがかなりリアルで、人形が少し苦手な私は、内心ビクビクしながら見学していました。
人物の足元には焼町土器が置かれており、当時の暮らしを想像しやすい展示になっています。
焼町土器のような装飾性の高い土器も、縄文時代の人々の生活と切り離されたものではありません。土器の形や文様を眺めていると、これを使っていた人々がどのような暮らしを送っていたのか、想像が広がります。

こちらは、縄文時代の食生活を紹介する展示です。
土器だけでなく、食べ物や生活の様子にも目を向けると、縄文時代の人々の暮らしがより身近に感じられます。
土器づくりを伝える展示
館内には、土器を作る様子を再現した展示もありました。




土器づくりの様子を見ると、土器が完成するまでには、粘土を形作り、文様や装飾を施すなど、さまざまな工程があったことが想像できます。
今回の展示では、人物模型を通して、技術が人から人へと伝えられていく様子も表現されていました。
ただし、縄文時代に土器づくりを主に誰が担っていたのかについては、地域や時期を超えて一律に断定することはできません。
こうした再現展示をきっかけに、土器を作る技術や、それを支えた人々の暮らしについて考えてみるのも面白いと思います。
浅間縄文ミュージアムで焼町土器を見学して
浅間縄文ミュージアムで特に印象に残ったのは、やはり焼町土器の迫力でした。
円環状の突起や、うねるような曲線を組み合わせた装飾は、ほかの土器とはまた違った魅力があります。
実際に見学してみると、写真で見ていたとき以上に、立体的な造形や細かな文様に目を奪われました。
また、縄文時代の人物模型や土器づくりの展示もあり、土器そのものだけでなく、それを使い、作っていた人々の暮らしに思いを巡らせることができました。
浅間縄文ミュージアムは、焼町土器をじっくり見たい方はもちろん、縄文時代の文化や暮らしに興味がある方にもおすすめしたい博物館です。
御代田町を訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。縄文土器の造形の豊かさを、実物を通して感じられると思います。
浅間縄文ミュージアムの基本情報
所在地:〒389-0207 長野県北佐久郡御代田町馬瀬口1901-1(エコールみよた内)
開館時間:9:30 〜 17:00(最終入館 16:30まで)
- 休館日:
- 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
- 祝日の翌日(8月は無休)
- 毎月最終木曜日(館内整理日)
- 年末年始(12月29日〜1月3日)
- 観覧料:
- 大人・大学生:500円(団体400円 ※20名以上)
- 子ども(小・中・高生):300円(団体200円 ※20名以上)
- ※障がい者割引あり(本人と付き添い1名が半額)
- アクセス:
- 電車:しなの鉄道「御代田駅」から徒歩約10分
- 車:上信越自動車道「佐久IC」から約15分(無料駐車場130台あり)
※詳細は浅間縄文ミュージアムのサイトへ。
